INTRODUCTION
ナチス映画の歴史を変えるエポック・メイキングな愛の物語
愛と笑いと勇気でタブーの扉を開ける!
時は、現代。ナチスの戦犯を祖父に持ち、家族の罪と向き合うためにホロコーストの研究に人生を捧げるトト。そして、ナチスの犠牲者となったユダヤ人の祖母を持ち、親族の無念を晴らすために、やはりホロコーストの研究に青春を捧げる若きインターンのザジ。スタート地点は真逆だが、同じ目標のためにアウシュヴィッツ会議を企画することになった二人。しかし、この出会いは、偶然ではなかった──。オープニングから畳みかけるようなユーモアと毒舌の連続に、こんなシリアスなテーマで笑っていいのかと不安を覚えた私たちは、“ドイツ、ウィーン、ラトビア”へと過去を追いかける二人の旅に同行しながら気付いていく。すべての人間に、どんな傷でも癒せる、素晴らしい力があることに。困難な日々の中にも必ず美しい花のような瞬間があり、昨日咲いた花(ブルーム・オブ・イエスタディ)が、今日、そして明日を輝かせてくれる。破天荒な展開のその先に、前を向く勇気をくれる物語が誕生した。
過去を嘆くだけの時代に終止符を打つ、
未来を生きる世代のために──
監督自身のルーツから創作した風変わりな愛の物語
監督はスマッシュヒットした『4分間のピアニスト』のクリス・クラウス。主人公と同じように、家族にダークな過去があると知り、大変なショックを受けて、自らホロコーストの調査を重ねた。その際に、加害者と被害者の孫世代が、歴史をジョークにしながら楽しそうに話している姿に触れ、本作のアイデアが浮かんだという。
当然ながら、彼らが親族の経歴を忘れたわけでも、そこから受けた心の痛みが消えたわけでもない。それでも、過去に囚われずに、希望と共に未来を生きようとする世代のために、新しいアプローチの映画を作ることを決意した監督。ナチス映画の歴史が変わるに違いない、エポック・メイキングな作品を完成させた。
フランスで最注目の若手女優とドイツの実力派俳優が共演
トトに扮するのは『パーソナル・ショッパー』などオリヴィエ・アサイヤス監督作品で知られるラース・アイディンガー。人生につまずきっぱなしの人間味に溢れた男を、情感をこめて演じた。ザジに扮するのは、セザール賞に4度ノミネートされ2度の受賞を果たしている、ダルデンヌ兄弟監督の『午後8時の訪問者』のアデル・エネル。いまフランスで最も注目されている女優のひとりだ。フレッシュな組み合わせで魅せるヨーロッパの歴史とユーモアがつまった大人の物語。